用語の説明
B
三次色や色調は有彩値無彩値の2つの部分に分けられます。混合色に含まれるグレー成分は無彩値として定義されます。理想的なプロセスカラーによる色の生成では、無彩値は同量の Cyan、Magenta、Yellow で構成されます。各部分が相互に中和しあって有彩の性質が失われ、無彩色に見えます。理想的なプロセスカラーでは、無彩値は部分的または完全に Black で置き換えることができます。無彩値を完全に取り除くことを、無彩色印刷と呼びます。
有彩色のプロセスカラーの残りの部分を、有彩値と呼びます。有彩値は常に1つまたは2つの原色で構成され、色調をカラフルにします。有彩プロセスカラーを減らすことによって、印刷工程が安定し、インキのトラッピングが大幅に改善されます。
彩度 (C*) は、人が知覚する色の強さを表します。ある色と、同じ明るさで無彩またはニュートラルな色との違いを表すもので、グレー、パステルカラー、非常に多彩などの表現が使われます。
彩度の知覚は、明度によって大きく左右されます。非常に明るい、または非常に暗いと知覚される色では、彩度が低くなります。
C
1931年、国際照明委員会「Commission Internationale de l'Eclairage」(CIE)によって、色刺激の評価に関する国際統一規格が制定されました。平均的な人の視覚を有すると想定した標準観察者に対して、3つの仮想光源 (X、Y、Z) を使用するカラーマッチング機能が定義されました。「Y」のスペクトル曲線は、人間の光の知覚に等しくなるように選択されました。測色標準観察者のカラーマッチング機能による色刺激の評価によって、X、Y、Zのカラー値で色を明確に表現する三刺激値が得られます。
CIEは1976年に、L*a*b* 色空間またはCIELAB色空間の基本を制定しました。
「LAB」とは、人間の色知覚に密接に関係する、色度座標システムを指します。CIELAB色空間は、明度軸「L*」、Red-Green 軸「a*」、Yellow-Blue 軸「b*」で構成されます。この色空間での距離は同一で、人の視覚をほぼ反映しています。明確な数学的相関関係によって、CIE XYZ空間から色空間に、あるいは色空間からCIE XYZ空間に変換することができます。「L*」の値は色の明るさを示し、0(完全なBlack)から100(基準ホワイト)まで変化します。色座標「a*」と「b*」は正または負の値となり、彩度を示します。
D
2つの色の違いを表すために、空間座標 ΔL*、Δa*、Δb* の差から、色差 ΔE* が計算されます:明度差ΔL*およびRed-Greenの彩度差Δa*、Yellow-Blueの彩度差Δb*。無彩色とやや色かぶりしたグレーは、色の逸脱方向から認識できます。有彩色では、色差 ΔE* が、明度、彩度、色相にしたがって3つに分割されます。
印刷インキは、用紙に絵柄を表示するために使用する材料です。ゆえに、その性質は根本的な役割を果たします。含有顔料分がインキの不透明度および彩度のレベルを決定します (顔料が多いほど彩度が増し、カラーの強度も増します)。オフセット印刷では、有彩インキは大半が透明です。これらのインキが、さまざまなインキを使用して連続したレイヤーで印刷される場合は、実際にそれぞれは混色されませんが、その透明度が光学的 (視覚的) な混色効果を生み出します。たとえば、Yellow のレイヤー上にある Red のレイヤーは、Orange に見えます。
インキの性質を変えるために、特定の添加剤が混合されます。その外観 (マット、光沢、メタリック) や粘性、乾燥性、さらには匂いなどが影響を受けます。
色の再現においては、紙質が重要な役割を果たします。アート紙などのコート紙では色がより強く現れますが、乾燥に時間がかかり、汚れが発生しやすくなります。繊維性の用紙はインキを部分的に吸収するため、マットでよりくすんだ印象になります。
印刷特性は、プリントのドット領域とフィルムのドット領域の関係を網パーセントで説明するのに使用されます。理想的な印刷特性は、線形的に45°で上昇します。印刷特性は、使用するインキ、用紙のプロパティ、印刷書式、および印刷機の動作によって異なります。確定された印刷特性が適用されるのは、そのプロセス条件だけです。同じデータを異なる印刷機や印刷用紙で得ようとすると、印刷プロセスも変わります。
E
ドミナントカラーまたは黒は、重ね色における混色の色相と彩度を決定します。
F
2つの色の違いを表すために、空間座標 ΔL*、Δa*、Δb* の差から、色差 ΔE* が計算されます:明度差ΔL*およびRed-Greenの彩度差Δa*、Yellow-Blueの彩度差Δb*。無彩色とやや色かぶりしたグレーは、色の逸脱方向から認識できます。有彩色では、色差 ΔE* が、明度、彩度、色相にしたがって3つに分割されます。
同じカラー距離の許容範囲は、色度の座標によって変わります。偏差は、パステルや Gray より、サチュレーションの程度が高い色相でより目立たなくなります。ゆえに実践用に、別の色差計算式(ΔE*(94), ΔE*(2000))が開発されました。これらの式では、明度差 ΔL*、彩度差 ΔC*、色相差 ΔH* が算出されます。
色は視覚的な感覚です。色の知覚には、「色相」、「彩度」、「明度」と呼ばれる、それぞれ独立した3つの属性が存在します。これらの特性によって、色の知覚を明確かつ十分に説明することが可能です。色というものを正確に互いに認識しあうためには、定量的で標準化された説明が必要です。これは、明確な色を基にした色間の寸法的な関係の論理となる、測色を行うことで可能になります。
色環は色の配色原則を表します。6つのセクションに、加法混色の一次色 (Red、Green、Blue) および減法混色の一次色 (Cyan、Magenta、Yellow) が表されます。各色は隣接する2色の混色から生成され、向かい合う2つの色は互いに補色関係にあります。
色相は、色の純粋な色合いを指します。この性質を説明するために、Yellow、Red、Green、Blue (一次色) が使用 されます。その他の色相は、4色の一次色のうち2色で構成されます。この色の属性によって、有彩色と無彩色を区別することができます。他の2つの色の属性は、彩度と明度です。
色相角度 (h) は、2次元の座標システムで、矩形内の色相の位置を表します。正のx軸は、よく0°の角度として定義されます。CIELABシステムでは、一次色の Red、Yellow、Green、Blue が、だいたい0°、90°、180°、270° (逆時計回り方向に数えて)の位置にあります。
サチュレーションは、色の純度と強さを定義する色の属性のことです。第3の色の追加による色相の明暗が少なくなるにつれ、サチュレーションは高くなります。彩度が同じで、ライトネスが異なる色は、同じサチュレーションを持っています。サチュレーションは、人が実際に知覚するものではありません。
その他2つの色の属性が、色相と明度です。
色空間は、色を表す3次元モデルです(RGB色空間、CIELAB色空間など)
色域には、特定の工程で表示可能なすべての色が含まれています。
ハーフトーン印刷のあるイメージ位置においてすべての分版が占める網点面積率を合計したものが、総インキ量です。総インキ量は、どの位置に該当するかも定義される場合は、有彩色印刷とUCR、無彩色印刷を区別するための指標として最適です。通常は、無彩のイメージシャドウ値のみが使用されます。
G
反対色または白は、組み合わせる色を汚染する色です。
GCR (= Gray Component Replacement、グレー置換)処理では、印刷する有彩色のグレー成分を、設定に従って Black で置換します。この処理は色空間全体に影響しますが、色の印象は変化しません。
ある色相を印刷するために必要なインキの総量が減り、網点面積率も小さくなります。グレー軸もより安定します。また、印刷時にトラッピングの問題が少なくなります。有彩色が少なくて済むため、コストも削減できます。しかし状況によっては、スクリーンのロゼッタパターンが目立つようになることがあります。
グラデーション (網点面積率の再現) は、原稿の濃度と再現の濃度の関係を定義するものです。透過原稿では濃度は透過光と入射光の対数比として定義され、反射原稿では反射光と入射光の対数比として定義されます。
原稿のグレートーンが印刷物でもグレー、つまり無彩になるように、グレーバランスによって Cyan、Magenta、Yellow の比率を定義します。グレーバランスは、使用する紙(特にその色合い)、インキ、印刷時のインキの色強度、そして印刷方法と刷版に影響されます。
インキとしての Magenta と Yellow は、視覚的には Cyan よりも優勢です。ゆえに、Cyan の網点率は通常、Magenta と Yellow の値より大きく、重ね刷りでは無彩のトーンになります。等量の Cyan、 Magenta、Yellow を重ね刷りすると、茶色っぽい色相になります。
H
色において、ライトネスは表面で反射する光の量を定義するものです。ライトネスは、光が面に当たってどのように弱められるかによって決まります。非発光性の物体の表面で、どのように光が反射するかを定義するのがレミッションです。きめ細かな地で平らでない表面ではイメージが鏡像にならず、イメージが乱反射 (散乱) します。ライトネスは、色における光の強さを表します。暗い、明るい、非常に明るいなどと表現されます。分光分布が同じで明度が異なる色は、別の違う色です。このことは、カラーマッチングをする際に覚えておく必要があります。
K
ある色とその補色を混合すると、グレーが生成されます。色相に応じて、補色は1色または2色のインキまたは色光で構成されます。
M
背景には、ISO 13655 で定義された測色条件と、光沢を出すために蛍光増白剤を使用した紙の普及があります。人間の目はこのような紙を「白」と知覚しますが、測色計は青成分を感知します。ISO-13655-標準に準拠するCIELa*b*値のスペクトル測定条件は、M0(UV条件は未定義)、M1(D50・昼白色)、M2(UVカットフィルタ)、M3(M2 + 偏光フィルタ)です。
混合色は、2色または3色の一次色を混ぜたものです。
P
一次色は、混合色を生成するために使用する色です。一次色どうしは、ある1つの一次色が残りの2つの一次色の混合によって決して生成されない関係にあります。加法混色の一次色: Red、Green、Blue。減法混色の場合:Cyan、Magenta、Yellow
プロセス標準は、4色印刷およびプルーフ印刷用に、色分版、分版フィルムや刷版を作成する際に適用されるプロセスパラメータおよびその値の規格です。プロセス標準には、印刷材料、インキ、ドットゲインおよび許容差に対するカラーデータが含まれています。基準ファイルは、プロセス標準を基にして特徴付けされ、印刷やプルーフ印刷を確認するために使用されます。プロファイルは、カラー合成および色域に対するプロセス固有の制限を含む、特徴付けされたデータを基に分版するためのファイルです。
R
相対的彩度は、同じ輝度を持つ、無彩色として知覚される色をそれぞれ区別するための測定単位です。一般的に、1単位は、ぎりぎり知覚できるくらい(自然物で、最大約120まで)の彩度の変化に相当します。
相対的ライトネス (明度) は、同じ照明の状況下で、White として知覚できる範囲の色の関係を定義するために使用する測定単位です。数値範囲は「0」(暗い)から「100」(明るい)です。
S
第1オーダーの混合色を二次色と呼びます。二次色は、等量もしくは等量でない2つの一次色を混合して生成します。(例:Magenta と Yellow から Red、多量の Yellow と少量の Magenta から Orange など)
Black は、濃度範囲を広げるために頻繁に使用されます。Black を印刷するもうひとつの理由は、輪郭が1つのスクリーンとなるべく1つだけの(強い)色で描かれる場合に、よりシャープな印象を与えるように再現するためです。グレートーンが主に Black で生成されているイメージは、印刷機においてインキの変動の影響を受けにくくなります。さらに有彩プロセスカラーは Black のプロセスカラーよりも高価であるため、いずれにせよグレーになる有彩色を Black で置き換えるのは自明の理です。しかし、いわゆる3次色でスクリーンのロゼッタパターンが目立つようになるというデメリットもあります。三次色とは、3種類のプロセスカラーを等分または不等分に配合して作られた第 3レベルの混色のことです。
T
第2オーダーの混合色を三次色と呼びます。三次色は、等量または等量でない3つの一次色を混合して生成します(例:Cyan、Magenta、Yellow から Brown)。
ドットゲインとは、印刷によって生じるスクリーンドットサイズの増加のことです。これによりイメージが暗くなり、また/あるいは色の変移が発生することがあります。ドットゲインは印刷プロセス、使用される用紙の種類や印刷メディア、インキに左右されます。また、スクリーン設定やプリンタ/印刷機の設定にも影響されます。印刷出力とプルーフ出力では、異なるドットゲインが生じます。ドットゲインは理想の印刷特性からのズレです。
U
有彩色印刷における追加的な設定が下色除去ですUCR (= Under Color Removal)。この処理では、ニュートラルなイメージシャドウ部分で、印刷する有彩色のグレー成分を Black で置き換えます。ある色相を印刷するために必要なインキの総量が減り、網点面積率も小さくなります。グレー軸もより安定します。また、印刷時にトラッピングの問題が少なくなります。有彩色が少なくて済むため、コストも削減できます。UCR とGCRを同時に設定することもできます。
V
汚いカラー再現を解決する唯一の方法は、純度の高い特殊インキを使用することです。スポットカラーは、プロセスカラーに追加してベタとして印刷される、特殊な混合済みインキです(HKSカラーやPantoneカラーなど)。色の彩度が足りないという問題は、暗色では該当する再現エリアにより多くの Black を印刷することで相殺できます。