マルチプロセス曲線セット

プロセス値およびプロセス曲線の定義についてはページ 34を参照してください。

なぜマルチプロセス曲線セットを使用するか?

マルチプロセス曲線セットを使用すると、以下のことが可能になります:

ImpositionOutput シーケンスの数の制限。1個のジョブで使用するプロセス曲線セットは、印刷材料(塗工紙、非塗工紙)の種類に基づいて自動的に選択できます。特定の条件下では、印刷材料ごとにわざわざ ImpositionOutput シーケンスを定義する必要はありません。

オブジェクト特有のスクリーニングの枠内で、1つのジョブにおける AM および FM スクリーニングの混合が簡単になります。AM および FM スクリーンでは、通常はそれぞれ別のプロセス曲線が必要です(視覚的なドットロスを参照)。マルチプロセス曲線セットなら、現在使用しているオブジェクト特有のスクリーンタイプに基づいて、プロセス曲線セットを自動選択できます。

視覚的ドットロスの問題:実際の現場では多くの場合、(粗い) AM スクリーンと(細かい) FM スクリーンには同じプロセス曲線を使用できません。ドットゲインが同じである場合、AM および FM スクリーンでは細かさが異なるため、視覚的に与える印象が違います。

FM スクリーンに AM スクリーンと同じドットゲインを用いると、FM スクリーンのオブジェクトはコントラストに乏しく物足りない印象を与えます(以下の図も参照)。そのため現場では、FM スクリーンにはより高いターゲット曲線を使用します。つまり、ドットゲインがミドルトーンで上昇します。

MultiProzesskuvernsatz_1.png

 

マルチプロセス曲線セットとは何か?

プロセス曲線セット

プロセス曲線セットには、印刷材料やスクリーニングなどのプロパティが明確には割り当てられていません。しかしながら、プロセス曲線は印刷プロセスの特定のプロパティを考慮して作成されており、そういった意味では、これらのプロパティに基づくグループ分けが可能です。普通のプロセス曲線セットでは、名前の選択時に、名前にたとえば印刷材料の種類が含められるという形で、これらのプロパティが通常は名前選択に反映されます。

マルチプロセス曲線セット

マルチプロセス曲線セットには、1つまたは複数のいわゆる規則が含まれます。各規則は特定のパラメータ(スクリーニング、スクリーンの細かさ、印刷材料の種類)に、1つのプロセス曲線セットを割り当てます。規則に基づいて、プロセス曲線セットがマルチプロセス曲線セット内で選択されます。言いかえると、マルチプロセス曲線セットは、(その名前によってではなく)明確にプロパティが割り当てられたプロセス曲線セットの集まりです。

これらのプロパティ、つまり規則内のパラメータは:

スクリーニングのタイプ:プロセス曲線セットを、すべての AM スクリーニングまたはすべての FM スクリーニングに適用するか、あるいは各スクリーニングに適用するかを選択できます。

線数またはドットサイズ:「AM スクリーニング」選択に対して線数を正確に指定できます。「FM スクリーニング」選択に対してドットサイズを正確に指定できます。

印刷材料の種類:プロセス曲線セットを、ある特定の印刷材料に適用するか、または各印刷材料に適用するかを選択できます。

マルチプロセス曲線セットはまず、コンテナのように作成されます。その後、上記であげたパラメータに、存在するプロセス曲線セットを割り当てる規則を追加します。各規則は、マルチプロセス曲線セットで1つのエントリを形成します。

マルチプロセス曲線セットの名前は、常に頭に自動的に「MP」が付けられる点を除いて、自由に選択できます。マルチプロセス曲線セットのすべてのプロセス曲線セットは、この固有の名前で参照されます! 

以下に、2つのマルチプロセス曲線セットを例にとって図示します。マルチプロセス曲線セット2の詳しい例では、異なる印刷材料「HD ISO 紙タイプ 1+2 (塗工紙)」と「HD ISO 紙タイプ 4+5 (非塗工紙)」に対して、それぞれ1つの規則を示しています。この際、種類の異なる印刷材料には、塗工紙と非塗工紙に適したプロセス曲線セットが割り当てられます。

マルチプロセス曲線セット2の名前によって、どちらのプロセス曲線セットも参照できます。

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キャリブレーションデータ記録のマルチプロセス曲線セット

マルチプロセス曲線セットが定義済みであれば、新規キャリブレーションデータ記録の作成時にこれを使用でき、プロセス曲線セットのリストボックスに表示されます。キャリブレーションデータ記録を新規作成(プロセスキャリブレーション)も参照してください。ここで場合によっては、キャリブレーションデータ記録に対してマルチプロセス曲線セットを選択します。

異なるキャリブレーションデータ記録に対して、同じマルチプロセス曲線セットを選択できます。ジョブ編集時には、マルチプロセス曲線セットの名前から、そこに含まれるすべてのプロセス曲線セットを参照できます(前提条件:ImpositionOutput シーケンスで同じマルチプロセス曲線セットが選択されている。ImpositionOutputシーケンスのマルチプロセス曲線セット も参照)。

例:あるキャリブレーションデータ記録で印刷材料「HD ISO 紙タイプ 1+2 (塗工紙)」を、そして別のデータ記録で「HD ISO 紙タイプ 4+5 (非塗工紙)」を定義するとします。どちらのキャリブレーションデータ記録でも、同じ、あらかじめ定義されたマルチプロセス曲線セット「HD ISO 60」を選択できます。

最初のキャリブレーションデータ記録では、プロセス曲線セット「HD ISO 60 紙タイプ 1+2」がキャリブレーション用に使用されます。2番目のキャリブレーションデータ記録では、プロセス曲線セット「HD ISO 60 紙タイプ 4+5」が使用されます。

以下にこの例を図で示します:

c0500055.jpg

 

ImpositionOutputシーケンスのマルチプロセス曲線セット

Prinect Cockpit のキャリブレーションでは、どのようにしてマルチプロセス曲線セットを選択できるか?

1.ImpositionOutputシーケンスを開きます。

2.キャリブレーション規則「合致、それ以外はキャンセル」を選択します。

その後、プロセス曲線セットの選択で、場合によって存在するマルチプロセス曲線セットも選択可能になります。

マルチプロセス曲線セットを使えば、ジョブ処理中に、スクリーンや線数/ドットサイズ、印刷材料といったパラメータをもとに、適切なプロセス曲線セットを自動的に適用できます。