トラッピングとは、グラフィックアート業界で最近広く使われている用語です。この用語は、隣合った色と色の間を、 スプレッドしたり チョークしたりすることを意味します。
多色印刷するとき、どんなに注意を払っても版ずれが生じることがあります。隣り合った 2 色の境界でわずかなずれ (フラッシュやフリンジ) が起こります。
このような結果を避けるために、オブジェクトや色の境界にわずかな重なり (トラッピング) を作成します。
フラッシュは例えば、印刷ユニットの調整が不完全であることによって発生します。またフラッシュは、用紙が、印刷機の状態、気温、湿度、インキの水分などの影響を受けると起こりやすくなります。隣り合う色がどちらも暗い場合、どんなに細いフラッシュでも目立ってしまいます。
フラッシュを防ぐ最も簡単な方法は、「薄い色」を濃い色に重なる
ように のばすことです。オーバープリントの際に多少ずれがあっても、色と色がわずかに重なっているのでフラッシュは生じません。
下の例では、それぞれ左の図はトラッピングが作成されず、右の
図は「スプレッド」でトラッピングが作成されています。
例:A
この場合、正方形の色の方が「薄く」なっています。この色を「のばす」ことで、露光の際に右の図のカラー分版は大きくなります。重ね刷りでは2つの色がオーバーラップします。
例:B
この場合、ベースの色の方が「薄く」なっています。この色を広げることで、「H」の文字のノックアウトサイズがカラー分版よりわずかに小さくなります。重ね刷りでは2つの色がオーバーラップします。
フラッシュを回避するには、隣り合う色の間に白のフレームを挿入する方法もあります。この方法は「White Framing(ホワイトフレーミング」とも呼ばれます。
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カラーオブジェクトの間に隙間が空くことで生じるフラッシュだけでなく、色を重ねたときも(特にスポットカラーの場合)、混ざった色が目立って画像のイメージが損なわれることがあります。
この例では、イエローの三角形とブルーの円が、それぞれのスポットカラーで印刷されます。 |
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図2 - 色を意図的に重ねるトラッピングの最も一般的な方法が、この場合は大きな失敗になります。登録エラーが原因の場合でも意図的なものであっても、これらの色を重ねると、色の境界線が非常に目立つグリーンのラインになります。 |
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図3 - 隣り合う 2 色の少なくとも一方が相対的に明るい場合、重ね合わせるより(図3を参照)効果的な方法があります。カラー分版を相互にずらすことで、重なりを防ぐこともできます。イエローの隣にホワイトフレームを入れる方が、図 2 のグリーンよりも目立たなくなります。 |